こんにちは、スポーツメンタルコーチの大迫です。
日本人のチームワークは世界的にみても高く評価されることが多く、日本人は組織で動くことで特に強い力を発揮すると言われます。
いわゆる“空気を読む”、試合の”流れ”を感じるのが上手いことも日本人の特徴です。
これは他の人種の人と比べて脳の使い方が違うことが原因だと考えられています。
今回はこの“脳”についての話を簡単に解説しながら、パフォーマンスアップにつながるトレーニングを紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
プロフィール
スポーツメンタルコーチ 大迫 慎太郎
スポーツメンタルコーチングAthLead.(アスリード)代表
MCS-JAPAN認定メンタルコーチ
JPDAドラコンプロ
学生時代は野球(大学硬式野球部出身)、その後ゴルフに転向し紆余曲折を経てプロの世界へ。プレーヤーとして複数競技の現場を知るメンタルコーチとしてアスリート、アスリートを支える指導者、ご家族の方、ビジネスパーソンをサポート中。アメリカ ロサンゼルスで世界のゴルフを学んだ経験を元に、帰国後はスコアアップに特化したゴルフレッスンも実施中。ベストスコア68。
目次
なぜ日本人の組織力は高いといわれるのか?
皆さんもご存知のように、日本人の組織力やチームワークというのは世界から高く評価されています。実際に日本のチームスポーツでも世界トップレベルの競技は多いですよね?
日本の組織力が強いとされる要因の一つとして、日本人には周りに注意を向けることが得意という特性があります。
これは脳の使い方が他の人種の人と若干違う部分があり、外部の動きを敏感に感じ取ることができるからであるとされています。
“空気が読める”日本人
いわゆる”空気を読む”ことが上手いというのも日本人特有の大きな特徴ですが、スポーツにおいてこの力は良くも悪くも働きます。
またこの”空気を読む”というのは、試合の”流れ”を感じやすいということでもあります。
言い換えると…
この”空気が読める”特性は日本人の大きな武器ですが、無意識的に注意を向けることが”上手すぎる”ということがマイナスに働くことが多々あります。
それは本当に集中したい場面でも周りに注意が向いてしまい、集中レベルが上がらずパフォーマンスが落ちてしまうといったことです。
集中には脳の使い方が深く関係している
真の集中状態に入るためには脳について理解しておく必要があります。人間の脳は左脳と右脳に分かれていて、各々で役割が違います。ただし役割は分業制ですが左右独立しているわけではなく、脳梁(のうりょう)で結ばれ互いに交信しています。
ここでは左脳と右脳の働きについて簡単に解説します。
左脳の役割
左脳は論理的思考を司ります。
具体的には数字の計算や文字の読み書きなど、スポーツでいうとゴルフのコースマネジメントやスイング研究、野球の投球の組み立てや投げ方、打ち方を考える時など、メカニック的な部分を担当するのが左脳です。
周りに注意が向いている時や考え事、雑念がよぎっている時も左脳が活発に働いています。これは人間の進化の過程で野生動物に襲われないために本能的に身につけた能力であるとも言われています。
左脳は1秒間に40個の異なる情報を発信でき、練習などで具体的な技術を学んでいく際に有効です。
右脳の役割
右脳は感覚を司ります。
具体的にはイメージを膨らませて絵を描いたり好きな音楽のメロディを聴いているときなど、スポーツでいうとプレーイメージに没頭して感覚でプレーしているとき、視覚や体感覚などの感覚に選択的に注意を向けているとき、または空間的に俯瞰してグラウンド全体を見ているときなどは右脳を使っている状態です。
自分の世界に入り込んでいる時は右脳が活発に働きます。
右脳は1秒間に1100万個もの情報処理、指令が可能で、沢山のものを俯瞰的に見ることができるため、実戦で使うべき部分であるといえます。
日本人の脳の使い方
スポーツに関わらずビジネスシーンや日常生活においても、日本人は左脳の使い方が非常に強力であるとされています。それはなぜでしょうか?
ここからは僕個人の考察になりますが、これは昔からの日本の文化がそうさせていると考えています。
※良し悪しについての言及ではありません。
日本では小さい頃から集団行動というものを学びます。集団の中で周りに注意を向け助け合いの精神を学ぶことでチームワークというものを身につけていきます。
別の言い方をすると、周りが今どのように動いているかを敏感に感じ取る訓練を集団行動、集団生活の中でしています。
つまり“左脳を使う訓練”を無意識のうちに行っているわけです。
日本人の組織力の高さを紐解いていくと、こういったところから生まれていると考えられます。
“本当の集中”に必要なのは右脳優位な状態
ここまで書いたように、日本人が特に優れている左脳の機能は反復練習を行う際に重要な役割を担っていますが、実際のプレー時においては高いパフォーマンスを発揮するための“集中”を妨げます。
ある意味集中できないことが普通と言ってもいいかもしれません。
ではどうすれば集中できるでしょうか?答えは“右脳を使ってプレーする”ことです。
多くのアスリートに“理想的なプレーをしていたときはどんな状態でしたか?”と質問すると、“感覚でプレーできている”や“自然と成功イメージだけが続いている”、“身体が勝手に動き、空から自分を見ているような感覚”といった回答をよく聞きます。これはまさに右脳優位な状態でプレーできているといえるわけです。
しかしここまで書いてきたように、基本的に日本人は左脳はフリーで使える人が多いですが、逆に右脳にはロックが掛かっていることが多いです。
こういった理由で右脳のロックを解除して働きを解放するトレーニングやルーティンを開発しておくことが非常に重要であり、アスリートはプレーする“今、この瞬間”だけは右脳優位な状態に切り替えられるようになる必要があります。
脳のスイッチングの練習
ここまで右脳を使ってプレーすることが必要だと書きましたが、厳密にいうと“ポイントごとに左脳と右脳を切り替える”ことが大切です。
例えばゴルフではコースマネジメントや距離の計算には左脳を使い、アドレスに入る時からボールを打つまでは右脳を使う、野球ではサインの確認や状況判断には左脳を使い、プレーに入る段階で右脳モードに切り替えることが必要です。
僕自身、選手として上の2競技を経験しているのでブレーンスイッチングは間違いなく必要だと実感していますが、恐らく他のどの競技にもこの作業の必要性は当てはまるかと思います。
フォーカストレーニング
ここまでブレーンスイッチングの必要性を書きましたが、では実際にどのようにトレーニングしていくのかというと、フォーカスバンドを使ったフォーカストレーニングが非常に有効です。
フォーカスバンドとはヘッドバンド状の脳波測定器で、自分の脳波を計測しリアルタイムで自分の現状が”左脳優位状態”か”右脳優位状態”かのフィードバックが受けられるデバイスです。
ここでは実際にAthLead.で行っているフォーカストレーニングの手順について紹介します。
手順1 第一測定
トレーニングの手順としては、まず第一に今まで通り実際のプレーに入る時と同じように自身の方法で”集中モード”を作ってもらい、その状態を測定します。
僕自身このトレーニングを提供している中で、多くの人が右脳優位の“本当の集中状態”からズレた場所を自分の集中状態と認識していることが非常に多いと実感しています。
手順2 安静時ブレーンスイッチング
初めの測定でこの感覚のズレを認識した上で、まずは安静状態で呼吸にフォーカスしたブレーンスイッチングのトレーニングを行います。
手順3 ルーティン&アンカリング作成
スイッチングの感覚を掴んだ後に再度測定し、ビフォーアフターのフィードバックを行ったのち、次に実際のプレー中の脳波を測定します。
安静状態と比べるとプレー中のスイッチングは難しくなります。そこで重要になるのがルーティンとアンカリングです。
※ルーティンとアンカリングについてはまた別の記事で解説します。
ここで各選手独自のルーティンとアンカリングを作成し、これらを実行することで右脳優位な”いつでもプレーに入れる”状態を意図的に作る方法についてコーチングを行います。
手順4 プレー測定&練習メニュー作成
トレーニングを提供している中で、事前に選手それぞれに得意なプレー、苦手とするプレーをヒアリングしています。特に苦手なプレーに関しては多くの場合、得意なプレーと比べてこの右脳モードへのスイッチが入りにくい傾向があります。
トータルパフォーマンスの質を底上げするという意味で、この苦手なプレーについて重点的にスイッチングのトレーニング、フィードバックを行い、今後の練習メニュー作成についてのコーチングを行います。
※ゴルフのパッティングトレーニングに関してはより詳細なデータの提供が可能です。
【3〜24フィート、それぞれ上りフック、上りスライス、下りフック、下りスライス合計32回のパッティングから得意な距離とライン、苦手な距離とラインを洗い出し、それぞれの状況でのプレーへの入り方を整えていきます。】
ヒアリングの内容次第で若干の変更はありますが、大きな流れとしては以上となります。
詳細はフォーカストレーニングのページをご覧ください。
AthLead.ではトップレベルのアスリートを目指すみなさんに対して、
メンタルコーチング、フォーカストレーニングを提供しています。
30分無料コーチングも行なっておりますのでお気軽にお問い合わせください。
またスポーツメンタル関連の情報はこちらでも発信しています。
それではまた。